船舶の「トン数」はちょっと違う!

海事代理士試験勉強をしている人はうすうす気がついてると思うけど・・・
ニュースなどで「大型船、〇〇トン!」という言葉を聞いたことはありませんか?
「トン」というと、多くの人が「重さ(1トン=1000kg)」をイメージすると思います。
でも、実は船の世界で使われる「トン数」は、ふつうのトン(重さ)とはまったく意味が違うのです。
🚚 まずは「ふつうのトン」って?
ふつう「1トン」というと、これは重さ(質量)のことです。
たとえばトラックが「10トン積み」と言えば、「最大で10,000kgの荷物が載せられる」という意味ですね。
🛳 船の「トン数」は「重さ」じゃない!?
はい、これがちょっとややこしいところです。
実は船のトン数の多くは、重さではなく、大きさ(容積=中の広さ)を表しているんです。
たとえば「総トン数(そうトンすう)」というのは、船の中にどれくらい空間があるかをトンで表したものです。
ここでの「トン」は「立方メートル(m³)」ではなく、特殊な計算方法で求められる「容積トン」です。
🍱 お弁当でたとえるなら…
ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、「重さのトン」と「船のトン数」の違いをお弁当箱にたとえてみましょう!
- 重さのトン:お弁当の中身そのものの「重さ」
- 船のトン数:お弁当箱の「中の広さ」
つまり、船のトン数は「どれくらいの空間があるか(=容積)」を表す言葉なんです!
船のトン数には3つの代表的な種類がある!
① 総トン数(Gross Tonnage/GT)
・船全体の「中の広さ」を表すトン数。
・船のサイズをざっくり示す数字で、部屋や機械室、通路などすべて含めた容積。
・法律・国際ルール・料金計算の基準によく使われます。

総トン数は「容積トン(Volume Tonnage)」の一種
まず大前提として、「総トン数」は重さではなく容積(スペース)です。
もっと正確に言うと、船の中にあるすべての“密閉空間”の広さを、特別な計算式でトン数に換算したものです。
「すべての密閉空間」とは?
- 機関室(エンジンルーム)
- 船員の居住区や通路
- 貨物室や客室
- 操舵室(ブリッジ)
- トイレ、倉庫…などなど!
要するに、屋根と壁で囲まれてるところはほぼ全部カウントされるってことです!
🧮 総トン数の計算方法(実際にはこうやって出す)
昔は「100立方フィート=1総トン(約2.83㎥)」という換算式が使われていましたが、
今は国際基準である「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約(Tonnage Measurement Convention)」に基づいて日本では「船舶の測度に関する法律」が制定され、新しい計算式が使われています。
総トン数(GT)= K × V
- V:船の密閉空間の容積(立方メートル)
- K:一定の係数(容積に応じて自動的に計算)
この係数Kがややこしいんだけど、簡単に言うと、
大きな船ほどKの値が小さくなる=GTの伸び方が緩やかになるよう調整されてるって感じなんです。
これはいわゆる「国際総トン数」といわれるもので、船舶のトン数の測度に関する法律第4条に定められています。
これと別に「国内総トン数」といわれるものもあり、上記の「国際総トン数」に一定の係数を乗じて算出します。国際総トン数より小さい数値となり、日本国籍の船舶にはこちらのトン数が用いられています。
総トン数って何に使われるの?
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| 🚢 船の登録区分 | 日本では総トン数20トン未満か以上かどうかで「小型船舶」と「その他の船舶」に分かれる。法律・制度が変わる境界線! |
| ⚓ 港湾施設利用料 | 港に入るときにかかる料金は、総トン数をもとに計算されることが多い。 |
| 💰 登録免許税・船舶検査 | 登録や検査にかかる税金・費用も、総トン数によって変わる。 |
| 🌍 国際航行基準 | 国際ルールや海事条約では、船の大きさの基準としてGTが使われる。 |
まとめ
・総トン数は「大きさ」の数字。でも「見た目のサイズ」と完全一致はしない。
→ パッと見大きくても、中がスカスカならGTは少なめに。
・総トン数は制度のカギ!
→ たとえば日本の「船舶職員及び小型船舶操縦者法」や「船舶安全法」などは、総トン数20トン以上で適用されることが多いですし、「船員法」その他の法令でも総トン数による区分けされています。。
・総トン数(GT)は、船の中のすべての密閉空間の合計容積を、特殊な計算式で「トン」に換算したもの。
・重さではないけど、法律・検査・料金などの基準として超重要!
・現代では「国際トン数条約」に基づいて統一された方法で計算されている。
② 純トン数(Net Tonnage/NT)
・実際に「荷物や乗客を乗せられる空間」の広さだけを表すトン数。
・客室や貨物室など、商業活動に使える部分のみをカウントしています。
・船会社にとっては「お金を稼ぐ部分」の広さとも言えますね!

「純トン数(NT)」とは?
純トン数(Net Tonnage)=お金を稼ぐためのスペースの大きさを表すトン数。
簡単に言うと、
💡 「この船で実際に“荷物や人を運べるスペース”ってどれくらいあるの?」
を表したのが「純トン数」です!
総トン数との違いは?
| トン数 | 意味 | 含まれる空間 |
|---|---|---|
| 総トン数(GT) | 船全体の大きさ(容積) | 密閉された空間すべて(エンジンルーム、居住区、倉庫など含む) |
| 純トン数(NT) | 実際に運送業務で使えるスペースの大きさ | 貨物室や客室など「収益に関係ある部分」のみ |
つまり、純トン数=儲けに直結するスペースってことなんです!
🧮 純トン数の計算方法(ざっくり)
これも「1969年トン数条約」による国際的な統一ルールに沿って計算されます。
式はちょっと複雑なんだけど、超ざっくり言うとこうなります👇
NT = 貨物スペースの容積 + 乗客数に応じた加算 − 船の構造に応じた控除
つまり…
- 貨物や乗客をたくさん運べるほど純トン数は多くなります。
- 操舵室や機関室、乗組員の寝室などは除外(儲けと関係ないから)されます。
なにに使われるの?
純トン数は、主に「営業的な使われ方」をします!
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| ⚓ 港湾使用料 | 港によっては「純トン数」で使用料を決めるところもある(=積み荷や乗客の多さを反映) |
| 📋 一部の法令基準 | 条例や特定のルールで、純トン数による区分を設けているケースあり |
| 🌍 税金・手数料 | 国によっては「税金や手数料」を純トン数で計算するところもある |
具体的なイメージ
たとえば、こんなイメージで覚えましょう👇
- ある旅客フェリー
- 総トン数(GT):8,000トン ← 船の全体サイズ
- 純トン数(NT):2,300トン ← 客室や車両デッキなど“儲けの空間”
- ある貨物船
- 総トン数(GT):10,000トン
- 純トン数(NT):6,500トン ← 荷物を積めるスペースが広い!
まとめ!
| 項目 | 総トン数(GT) | 純トン数(NT) |
|---|---|---|
| 表すもの | 船全体の容積 | 貨物や人を運べるスペース |
| 含まれる空間 | すべての密閉空間 | 営業に関わる空間のみ |
| 用途 | 法規・検査・登録など | 使用料や営業的評価など |
| 見た目の大きさと一致する? | だいたい合う | めっちゃ差が出る場合あり! |
③ 載貨重量トン(Deadweight Tonnage/DWT)
・これは唯一、「重さ」を表すトン数です!
・船が安全に運べる最大の荷物の重さ(=燃料・水・荷物・乗員など全部含む)
・たとえば「5万トンのタンカー」というと、DWTが5万トンという意味かもしれません。

載貨重量トン(DWT)って何?
ひとことで言うと…
💡「この船、どれくらいの“重さの荷物”を運べるの?」を表すのが「載貨重量トン」!
たとえば、船を「トラック」にたとえてみよう!
- 「総トン数」や「純トン数」はトラックの大きさ(箱のサイズ)
- 「載貨重量トン(DWT)」はどれだけ荷物を積めるか(耐荷重)
つまり「この船は何キロまで荷物や人を乗せていいのか?」という指標が載貨重量トン(DWT)なんです。
載貨重量トン(DWT)の中身は・・・
実は、「載貨重量トン(DWT)」と言っても、荷物だけじゃない!
DWT = 貨物 + 燃料 + 水 + 食料 + 乗組員 + その他の積載物 の合計の重さ
なんです!
たとえば、↓ のようなものが含まれるのですね。
| 内容 | 例 |
|---|---|
| 積み荷 | 石油、コンテナ、小麦、車など |
| 消耗品 | 燃料、水、潤滑油など |
| 搭乗者 | 船員・旅客 |
| その他 | 荷役機材、生活物資など |
重さの単位としての「トン」
ここでの「トン」は重さの単位(=メトリックトン、1トン=1,000kg)!
つまり「DWT 10,000トン」と言われたら、最大10,000トンの荷物+燃料などを積めるということ。
⚠️ 「総トン数」や「純トン数」は“体積(容積)”だったけど、「載貨重量トン数」は“重量”!
←ここ大事!
どんな時に使うの?
載貨重量トンは、貨物船やタンカー、フェリーなど「輸送量を知りたい」場面で大事です!
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| 📊 輸送能力の目安 | 船会社が「この船で一度に〇トン運べますよ!」とアピールする時 |
| ⚓ 積載管理 | 積み過ぎると沈みすぎるから「満載喫水線」と合わせて管理 |
| ⚖️ 貿易契約 | 積む貨物の量を契約書でやりとりする時「DWTで何%使用」など使う |
比較してみよう!
| 項目 | 総トン数(GT) | 純トン数(NT) | 載貨重量トン(DWT) |
|---|---|---|---|
| 意味 | 船全体の大きさ(容積) | 貨物・人を乗せる空間の大きさ | 積める「重さ」の最大値 |
| 単位 | 容積トン(≒m³) | 容積トン | 重量トン(=kg単位) |
| 主な用途 | 登録・検査・法令基準 | 港湾使用料など | 積載管理・商業契約 |
| 関係するもの | 船の構造すべて | 客室・貨物室など | 荷物、燃料、人、食料などの「重さ」 |
具体例で見る!
たとえば、こんな貨物船があったとします👇
- 総トン数:12,000トン(船のサイズ)
- 純トン数:7,000トン(商売スペース)
- 載貨重量トン:18,000トン(積める重さ)
→ この船は「けっこう重い荷物を積めるぞ!」ってわかりますね。
まとめ!
・DWT(載貨重量トン)=積んでいい重さの合計
・貨物だけじゃなく、燃料・人・水など全部込み
・「総トン数」や「純トン数」は“容積”、載貨重量トンだけが「重さ」
・主に貨物船・タンカーで活躍する数字!
最後に全部まとめると…
| トン数の種類 | 内容 | トンの意味 |
|---|---|---|
| 普通の「トン」 | 重さ(1トン=1,000kg) | 重さ(質量) |
| 総トン数(GT) | 船全体の大きさ(中の広さ) | 容積(空間の広さ) |
| 純トン数(NT) | 荷物・乗客を乗せるスペース | 容積(商業空間の広さ) |
| 載貨重量トン(DWT) | 積める荷物の最大重量 | 重さ(積載可能重量) |
同じ「トン」という言葉でも、意味が全然ちがうので注意が必要!
船の登録や税金、港で払う料金なども「総トン数」や「純トン数」を基準に決まることが多いです。ちなみに、日本では「船舶法」や「船舶のトン数の測度に関する法律」などでトン数に関するルールが定められています。


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