改正のあった令和6年4月以降の分も解説。
みなさま、こんにちは。
ご存知のとおり、「海上運送法等の一部を改正する法律」という法律が、令和5年5月に公布され、令和6年4月1日から順次施行されています。
前回は令和7年4月からの改正点について簡単に説明いたしましたが、すでに施行されている令和6年4月以降の改正点もまとめておいた方がよいだろうという考えに至りました。
海事代理士試験でもチラホラと改正点の出題が見受けられますので、今後の試験対策としても、実務上でもバクっと備忘録的にまとめます。(バクっとしてますが、なかなかの長文になると思います)
一部、令和8年度施行のものもありますので、受験生の方はその点に注意してご覧ください。(前回も書きましたが、すでにご存知のようでしたらガン無視してください・・・)
① 安全統括管理者・運航管理者資格者証制度(R8年度〜)
【海上運送法】
安全統括管理者と運航管理者について、資格者試験が実施され(令和7年度から実施予定)、合格した一定の実務経験者に資格者証が交付されることになりました(令和8年度から施行予定)。人を運送する船舶運航事業者は、資格者証を取得した安全統括管理者・運航管理者を置かなければいけません。
《安全統括管理者資格証》

《運航管理者資格者証》

資格者証は2年更新。更新講習を受講し、地方運輸局への申請により更新することができます。
資格者証制度は令和8年度からの施行予定ですが、令和7年度から資格者試験制度は開始される予定ですので、一応確認しておいたようがよいですね。
令和8年度からは運航管理者の権限の強化も予定されています。
② 「安全管理規程」重要規定の法令化(R6年度〜)
【海上運送法施行規則】
安全管理規程への記載事項の項目が追加され、より具体化されました。

これに伴い、安全管理規程のひな型も改正されることとなります。
③ 「安全情報」提供の拡充(R6.4〜)
事業者は「輸送の安全に関わる情報」をインターネット利用(HPなど)その他の適切な方法で公表しなければなりません。(令和6年4月より公表義務が発生しています)
そして、さらに事業者は、輸送の安全に関わる情報を、毎事業年度終了後100日以内にインターネットの利用その他適切な方法で公表、国に報告する。(令和6年度実施)
国はその内容を毎年HPで公表する(令和7年度〜)
④ 「特定教育訓練制度」の創設
小型旅客船の船舶所有者は、初任の船長等の乗組員について、船舶の航行する水域の特性等に応じた操船に関する教育訓練の実施をしなければなりません。
特定教育訓練の対象者は
小型旅客船(海上運送法2条2項に規定する人の運送をする総トン数20トン未満の船舶)の乗組員で、船員法が適用されない「総トン数5トン未満の船舶」、「湖、川又は港のみを航行する船舶」も対象になるので要注意です。
⑤ 特定操縦免許制度の改正(R6.4〜)
【船舶職員及び小型船舶操縦者法】
小型旅客船・遊漁船の船長になるには「特定操縦免許」が必要になりますが、取得時の要件が改正されます。
将来的には特定操縦免許でも、乗船履歴の計算が出題になる可能性もあるのかもしれませんね。
⑥ 旅客不定期航路事業の許可更新制について
【海上運送法】
(1)旅客不定期航路事業を営もうとする事業者のうち
① ②以外のもの→第1号許可
② 小型船舶(総トン数20トン未満)のみを用に供する→第2号許可
と区分し、第2号許可に事業許可更新制度を導入する。(更新期間は処分履歴により異なる)
(2)許可・更新許可の申請書類に「安全人材確保計画」の提出を義務付ける
安全人材確保計画は小型船舶の輸送の安全を確保するための人材確保・資質向上に関する計画のことで、人材確保のための取組み、目標、教育訓練内容、目標達成状況などを具体的に記載します。
⑦ 「船客傷害賠償責任保険」限度額の引き上げ(R6.10〜)
利用者保護のため、船客傷害賠償責任保険の限度額の引上げを行い、事業者締結している保険の内容を公表する。
◯許可事業者:3000万円→1億円へ引上げ
◯届出事業者:3000万円→5000万円へ引上げ
◯運送約款に1億円(5000万円)以上の保険契約を締結している旨を記載し公表する。
⑧ 「旅客名簿」の備置き義務の見直し(R6.4〜)
【海上運送法】
旅客名簿は船員法18条に基づき、船長が船内に備え置くこととしていましたが、旅客船事業者が陸上に備置くこととし、備置きの義務がある船舶の範囲が拡大されました。
今までは近海区域以遠の航路について、船長が船内に備置くこととしていましたが、見直し後は、近海区域以遠に加えて、「対外旅客定期航路事業」「航路上の港と港の間の所要時間のうち最大となるものが50分以上の航路である旅客不定期航路事業・人の運送をする内航不定期航路事業」も義務対象になります。
船内で作成した旅客名簿をスマホで撮影、出港前に営業所へメール、共有サーバに保存でもOKです。
また、旅客名簿の作成が義務付けられたため、旅客名簿の記載を拒否した旅客に対して、運送契約の拒絶・解除ができ、損害を与えられた場合には損害賠償の請求もできるようになります。
⑨ 地域関係者による協議会の設置
旅客船事業者や地域関係者が連携して安全レベルの向上を図る目的で、「地域旅客船安全協議会」の設置を推進することになりました。
旅客船事業者・漁業関係者・自治体等が連携して運航に必要な情報や運航可否判断などの情報共有を行います。
⑩ 船舶の安全基準の強化(R4.11から順次)
安全設備の義務化
旅客船・遊漁船の安全設備設置が義務化されました。(航行区域・船舶によって設備は異なります)
①改良型救命いかだ等
②業務用無線設備
③非常用位置等発信装置
法定無線設備の見直し(R4.11〜順次)
①法定無線設備として携帯電話を積み付けている限定沿海を航行する旅客船
②法定無線設備の積付け義務のない旅客を搭載して事業に使用される船舶
については、業務用無線または衛星電話の積付けが義務化されます。
携帯電話は法定の無線設備から除外されることになりました。(圏内の平水除く)
非常用位置等発信装置の搭載義務(R6.4〜順次)
限定沿海以遠を航行する
①旅客船
②旅客を搭載して事業に使用される船舶(海上タクシー・遊漁船など)
は、非常用位置等発信装置の搭載が義務化されました。
簡単にまとめてみました。抜けているものもあるかもしれません。
見つけた場合にはお知らせいただければ嬉しいです。


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