1.次の文章は民法の条文である。___に入る適切な語句を漢字又は漢数字で、解答欄に楷書ではっきりと丁寧に記入せよ。(5点)
(1)共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を___する義務を負う。
【模範解答】 「償還」
【かってに解説】 民法249条2項の規定のとおりです。
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
【共有】は、何人かで1つの物を共同で所有する一つの形態です。
共有者は共有物に対して持分(所有の割合)を持っていて、その持分に応じて共有物の全部を使用することができます。(249①)
ただし、特に定めがなければ、持分を超えた使用をしていれば、その分の使用対価を他の共有者に償還しなければなりません(249②)
たとえば、AさんとBさんが不動産を共有している場合、特に定めがなければ持分は1/2ずつになります。AさんがCさんにその不動産を賃貸した場合、Bさんにも賃料の一部を償還しなければならないということです。
この249条2項の規定は2021年4月施行の民法改正により規定されました。
(2)___は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
【模範解答】 「使用貸借」
【かってに解説】 民法593条の規定のとおりです。
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
【使用貸借】は借主が無償で目的物を受け取り、使用・収益したのちにその物を返すという契約のことです。
ポイントは ①無償である ②借りた物そのものを返還する ことです。
たとえば、AさんがBさんから無料でかっこいいマウンテンバイクを持っていたのでそれを借り、サイクリングに行ったあとにBさんに返す。といったケースです。
(3)詐欺又は___による意思表示は、取り消すことができる。
【模範解答】 「強迫」
【かってに解説】 民法96条1項の規定のとおりです。
(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。(②③略)
【詐欺と強迫】
詐欺は、だまされて意思表示をした。強迫はおどかされて意思表示をした。
という違いがあります。ただ自ら進んでした意思表示ではなく、だまされてかおどされたかしているということで、そういった意思表示は取り消すことができると規定されました。
(「強迫」の漢字は「脅迫」ではないので注意しましょう)
(4)代理権を有しない者がした契約は、本人が___をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
【模範解答】 「追認」
【かってに解説】 民法115条の規定のとおりです。
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
【追認】とは、あとから遡ってその事実を認めることで、民法上では、取り消すことができる行為をもう取り消さないものとして、事実を確定的に有効なものとすることをいいます。
ところで、条文を読んでいるとよく「この限りでない」という文言が登場しますが、これは「本文の規定を、ある条件があるときには適用しない」ということです。ややこしい言葉遣いですが、よく出てくるので慣れるようにしましょう。
(5)当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、___の履行を拒むことができる。
【模範解答】 「反対給付」
【かってに解説】 民法536条1項の規定のとおりです。
(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。(②略)
この条文は双務契約(当事者双方が債務を負担して対価関係にある契約)の危険負担についての規定です。当事者双方には責任がない原因で契約を続行することができなくなった場合に、そのリスクをどちらが負担するかということです。
2020年の民法改正により、規定が変更になりました。
たとえば、
Aさんが作成した陶器をBさんが100万円で買う契約をしました。
しかし陶器が、引き渡し前に地震によって壊れてしまいました。
これにより契約は履行不能になりましたが、それでもBさんは100万円を支払わなければならないのでしょうか?
この場合には、契約は履行不能により消滅したのであれば、Bさんは代金支払いを拒むことができることになりました。(これを債務者主義といいます)

